カテゴリ:歳時記ぐらし( 24 )

『アイルランドモノ語り』栩木伸明著ーーー聖パトリックス・デーに

3月17日はアイルランドの祝日、セント・パトリックス・デー。
アイルランドにキリスト教を広めた、セント・パトリックの命日です。
キリスト教を広めるといっても、
それまでアイルランドにあった土着の宗教を根絶やしにせず、
キリスト教との融合をはかりながら布教したといいます。
だからこそ、セント・パトリックはいまも祝日になるほど慕われているということでしょう。

東京の青山から明治神宮へ向かう表参道では、
毎年セント・パトリックス・デーに近い週末(今年は16日)にパレードがあります。
が、明治神宮へは向かわず、参道を逆方向に進むのがおもしろい。
先週表参道へ出かけたときには、アイルランドの国旗がずらりと掲げられていました。
表参道、三月の風物詩のひとつです。

この日にちなんで、日本の歳時記ではありませんが、アイルランドのお話を少し。

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アイルランドには、ダブリンに一度行ったきりですが、
必ずもう一度訪れたいと思っています。
それほどわたくしにとって魅力ある国でした。

そんなふうにわたくしがアイルランドに興味を持ったのは、
アイルランド文学者の栩木伸明さんの影響です。
栩木さんはこれまで何度かアイルランドの首都ダブリンに暮らし、
その前後にもたびたび各地を訪れています。
アイルランド文学の翻訳もなさり、またご自身の著作も多数。

昨年上梓された『アイルランドモノ語り』(みすず書房)は、
栩木さんが幾度となく訪れたアイルランドで見つけた「モノ」たちと、
アイルランド文学、歴史、文化、そしてアイルランドに住む人々を絡み合わせて、
心楽しくも豊かな文章に編み上げた紀行文です。

教養とは、こういう文章を書けることをいうのだなあ。
心温かくて、やさしくてお茶目で、好奇心を失わない。
バランスがとれているのですね。
しかも厳しいところはビシッとキメてくれる。
まるでアイルランドのあの複雑な紐結びのように、
栩木さんの文章には次々と興味深いモノや人や物語が登場しては他者と絡まり合い、
けれど最後には気持ちよくすーっと一本の紐に解かれていきます。
その見事さ。
読み手としての幸福を味わえます。

喜ばしいことに『アイルランドモノ語り』は今年、読売文学賞を受賞されました。

栩木さんは、実はわたくしの高校の美術部の先輩です。
高校生のころから大人っぽく落ち着いていて、
何でも知っている「博識」な先輩として通っていました。
美術室では、顧問の先生とも対等に美術評論など交わしていたのですから。

ご縁があって、『アイルランドモノ語り』に装画を描かせていただきました。
栩木さんのお宅に編集の方とお邪魔して、本の中に登場する「モノ」たちを「紹介」していただき、
絵にする候補を相談して選び、お借りして描いたのでした。
鶏のおうち、古い本、馬車の置物など、楽しくも貴重な「モノ」ばかり。
わたくしにとっても、とても思い出深い仕事になりました。

毎年セント・パトリックス・デーの前後には、栩木さん直伝のアイリッシュ・シチューを作ります。
今週末は、ラムを買って来なくっちゃ。


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by happyfrosty | 2014-03-18 18:47 | 歳時記ぐらし

雛祭

今日は三月三日の雛祭り。
上巳の節句ですね。

今年のおひな様は、山口の大内人形を飾りました。
何年か前、山口市内で実際に大内人形を作っている工房兼お店、
「桑原大内人形製作所」に案内してもらって、
手に入れました。
かわいらしい形と、精巧な漆絵がすばらしい。

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これから帰って、ちらし寿司と蛤の潮汁を作ります。
もう昆布と干し椎茸はお水に浸かっているので、
あとはごはんを炊いて具を煮るだけ。
飾る緑は、今年は菜の花です。
さやえんどうも買って来たので、
三つ葉と一緒に潮汁に使いましょう。

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by happyfrosty | 2014-03-03 19:24 | 歳時記ぐらし

今月のお茶

去年の暮れにいただいたお茶を、今月最初のお茶にします。
横浜港は大桟橋近くにある、
インドの雑貨や服を売っているお店でお買い物をしたら、
おみやげにこのお茶をいただいたのでした。


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この日は、山下町に住むお友達と久しぶりに会いました。
名店「スカンジア」の一階でお食事をして、
そのあとに寄ったのがこのお店。

ダージリンのお茶といえば、紅茶の最高峰。
霧に煙る岡を思い浮かべてうっとり。
袋の封を切ると、中から出てきたお茶っ葉は、
グリーンと茶色が混じるものでした。

仕事場で使うお茶なので、ティーポットで入れるのではなく、
魔法瓶にティーバッグで入れちゃうの。
ちょっと乱暴ね。

紙のお茶パックに、一回分ずつスプーンで分けてティーバッグを作ったら、
全部で20パックできました。     
この1パックで魔法瓶にお茶を入れて机に持って行き、
仕事中に飲みたくなったらちょいと注いでは飲むのです。
いつでも熱いお茶が飲めるし、
お茶を入れるために立たなくていいでしょう?
仕事机に来ると、二、三時間は椅子に座ったまま。
へたすると四、五時間は動きません。
というわけで、お茶の入ったポットは必需品。
20パックということは、1日1パックで20日分。
今月のお茶は、これで決まりですね。

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by happyfrosty | 2014-03-02 18:46 | 歳時記ぐらし

『日日(ひにち)がくすり』草市潤(三月書房)

三月書房さんから、草市潤著『日日(ひにち)がくすり』が届きました。
三月書房さんは、常に内容が充実した美しい本を出す版元さんです。
神田錦町で、いまは二代目の代表が行き届いた本作りをしています。
その代表は、なんとわたくしと同い年の女性。
お目にかかるたび、御本を拝見するたび、尊敬の念を禁じ得ません。

今回の草市さんの御本も実に美しいできばえです。
この季節にぴったりの、グリーンピースのスープを思い出させる色合いの紙函に、
中の布張り上製のカバーは鮮やかなオレンジ色です。
日本の伝統色の名前でいえば、「黄丹」といったところでしょうか。
そのカバーには、グラシン紙が掛かっているのです。
書籍とはこうでなくては、という上質なお手本ですね。

草市さんのご著書は、いままでも三月書房さんから、何冊も出ています。
佐賀にお住まいの、御年九十五歳というエッセイストの草市さん。
今年は午年の年男だそうです。
どのご著書からも飄々とした日々の様子が伝わってきます。
飄々といえどもかなりのパンクぶりで、
読んでいるとときどき驚いてひっくり返りそうになるほど。
独特のクネクネ文体は、不思議にあとあとまで残ります。

そんな草市さんの新作。
これから読むのがとっても楽しみ。
三月書房さん、どうもありがとうございます。

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by happyfrosty | 2014-03-02 18:09 | 歳時記ぐらし

大豆の芽生え

一月の末、味噌の寒仕込みをしたときに使った大豆。
三粒流しにこぼれていたのを救出したのがひと月前です。
スボンジと水をいれたコップに入れておいたら発芽して、
今日、双葉がひらきました。
かわいいな。

これからどうやって育てていこうか思案中。
小さな鉢で猫可愛がりしようかな。
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by happyfrosty | 2014-03-02 17:41 | 歳時記ぐらし

ヒナゲシの花

先週の水曜日、六月に出る絵本の色校正を見に、
F音館書店へ行きました。
いい色に出していただいて、めでたく責了したその帰り。
うきうきした気分も手伝って、
地下鉄駅に向かう途中で桃と菜の花の花束を買いました。
これから電車で帰るのに。

自宅の駅で降りると、
駅の中にあるお花屋さんに、
今度はポピーの花束を発見。
桃の花も雛祭りを過ぎるとあっという間に花屋さんから姿を消してしまいますが、
ヒナゲシもまたこの春先の一瞬しか店先に見られません。
今日を逃したら今年はもうポピーを買えないかも。
というわけで、
巨大な枝もの(桃ね)を持ったまま、
ポピーを買いに店内へ突入。

そのままでいいからね、と支払いを済ませてポピーの花束を受け取ると、
「そちらにはいりますか?」
 桃の花の入った大袋を見ながら尋ねてくれたやさしい店員さん。
「よそで買った花なんて持ってきちゃってごめんなさいね」
 思わず言うと、店員さんは二人そろってニコニコ見送ってくれました。

家に帰るとさっそくポピーを挿して、朝練用のスケッチブックに連日記録。
ポピーのいいところは、必ずつぼみが見事に全部開くこと。
ひげ面ケバケバのつぼみから、紙よりも薄い花びらの愛らしい花が咲くそのギャップ。
花色も、白、黄色、橙、濃朱、赤、と暖色の取り合わせが完璧です。

買ってから四日目までのスケッチ。

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買って帰ったときに、開いていた花は二、三輪でした

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翌朝になると、開いた花がだいぶ増えていました

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さらに翌朝、
つぼみをひとつ残してすべて開花

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四日目の朝は、もう咲ききっています
まん中のめしべがおもしろい
下の部分は、つぼみと同じケバケバちゃん

元気に咲いてくれてありがとう。
この春のポピーもすばらしかったね。

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by happyfrosty | 2014-03-02 17:34 | 歳時記ぐらし

雪見酒

窓の外の雪景色を見ながら、お燗したお酒を飲みましょうか。

《トキ燗器》
お燗をするのに使うのは、「美の川 トキ燗器」。
新潟は長岡の「美の川酒造」さんが作った、焼き物のお燗用酒器です。
鳩の形をしていることから、「はと燗」と呼ばれていたもので、
発祥は九州地区なのだとか。
囲炉裏端で使われていたものですが、このごろは見かけなくなってしまったのを、
美の川さんが復刻したのだそうです。
鳩の形のこの酒器の背中に『朱鷺丸印』を入れて、
美の川さんオリジナルの「トキ燗器」ができあがったというわけですね。

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何とも愛らしいとき燗器を作ってくれた美の川さんに感謝をして、
謹んでお燗をして雪見酒といきましょう。


《純米吟醸酒「良寛」》
お酒はもちろん、越後の地酒、美の川酒造さんによる純米吟醸酒「良寛」。
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土もののとき燗器は、使い始めにはお湯で煮ること、
と説明に書いてあるので、これまた新潟の鶴丸両手鍋で煮ました。
お鍋を見ていたら、まるで鳩がお風呂にはいっているよう。


《鳥尽くし》
それにしても、なんだか鳥が多いなあ。

の形の
トキ燗器を
・新潟は生まれの
丸鍋で

煮たのでした。

準備万端、トキ燗器にお酒を入れて、
コンロに網を載せてその上に置きます。
肉厚の陶器を直火に掛けると、
やわらかい味わいのお燗になる、とありました。


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《東哉の酒器》
今回使う酒器は、京焼きが美しい銀座東哉さんもの。
雪のような白い肌の磁器です。
「かぶら」の名がある優雅な形のお銚子に、
揃いのこちらは、陣笠を思わせる形のお盃。
このお銚子は、さんざん待ってようやく手に入れたもの。
計ってみると、容量はぴったり一合、180ミリリットル。
すばらしきかな。
当たり前のことだけれど、でもやっぱり感動。
こちらも使い初めです。
お盃は、手持ちの中でいちばんの気に入り。









《ぬる燗》
弱めの中火にかけて一分弱、ぬる燗でいただきました。
滋味溢れる味わい、しみわたります。
たしかにやわらかなお燗です。

雪見酒、満喫しました。
美の川酒造さんに感謝です。

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by happyfrosty | 2014-02-09 20:38 | 歳時記ぐらし

針供養

二月八日は針供養。
浅草は浅草寺境内にある淡島堂では、針供養の法要が営まれます。
何度か行ったことがありますが、
お堂内には見たこともない大きなお豆腐がいくつも用意されるのですね。
大振りなお盆一杯の平たいお豆腐。
お参りに来ているのは主にご婦人方。
お坊さんのお経が終わると、
皆さんが順番に、持って来た折れ針、錆び針をこのお豆腐に刺していくのです。

今日はせっかくですが、大雪なので遠くへの外出は無理。
そこで、小さなお豆腐に針を刺して、一人針供養。
この一年はあまりお針仕事をしませんでしたね。
折れ針入れにはいっていたのは、五本のみ。
深めの塗り皿にお豆腐を四分の一丁入れて、折れ針を差しました。

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あとはどうするかわからないので、
手を合わせて針に感謝をしたのち、針を豆腐から抜いて、
お懐紙に包みました。

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包んだ折れ針は、今度浅草へ行ったときに淡島堂へ持って行けばいいのかな。
それとも、やっぱり折れ針の受付は、二月八日のみなのかもしれません。
ということは、針箱にこの包みを一年間入れておくってことかしら。
う〜ん。


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by happyfrosty | 2014-02-09 19:46 | 歳時記ぐらし

雪見散策

《関東に大雪》
2014年2月8日土曜日、関東地方に二十年に一度という大雪が降りました。
前日から天気予報では大雪が降ると知らせていたので、
寝る前から気になっていました。
明け方四時半くらいに一度目が覚めたので外を見ると、
うっすらとあたりが白くなっています。


《朝六時起床》
それからは、もう再び眠りにつくことはできず、六時に起床しました。
カーテンを開けてもまだ外はほぼ真っ暗。
けれど、先ほど見たときよりも、さらに積雪は増している様子です。


《雪見散策出発》
いつもの朝のように洗面、着替え、お仏壇と神棚に挨拶をし、
朝食を食べたら身支度を整え、
雪見散策へ出発です。
雪景色を絵に描きたいと思っていたので、よく見て来なくては。


《本日の身支度(目一杯着て、防寒を完璧に)》
 モンベル・メリノウール特厚アンダーウェア上下
 ラムウール タートルネックセーター
 母の手編みモヘアの編み込み丸首セーター
 パタゴニア・ジップアップフリース ホワイト
 シェラデザイン・マウンテンパーカ オレンジ
 イッセイミヤケme・ダウンパンツ ホワイト
 耳当て付きアルパカ手編み帽子
 カシミアマフラー
 ブラックダイアモンド・フリース手袋
 ビブラムソール レインブーツ


《散策コース》
コースは、家から歩いて5分の恩田川沿いとその周辺の広がる畑へ。
いつも歩いている場所なのに、
どこもかしこも別世界。
真白き雪化粧で、初めて訪れた雪国に来たみたいです。


《カップケーキの植え込み》
植木屋さんの畑の植え込みは、
砂糖がけのカップケーキのよう。

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《根開き》
田んぼも一面真っ白ですが、
所々にある、まだ田起こしをしていない田んぼは、
刈った稲の根元だけ雪が溶けています。
これを「根開き」といいますね。
植物は暖かいので、雪が溶けやすいのです。

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《雪持ち梅》
梅林では、紅梅が五分咲き。
その花にも非情な雪が降り積み、雪持ち梅となっていました。

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《チョコドーナッツのタイヤ》
畑の脇に転がしてあるゴムタイヤはまるで、
アイシングのたっぷりかかったチョコレートドーナッツ。

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《盆栽も雪帽子》
川をひと巡りして戻ると、
橋のたもとの工務店前にある盆栽にも、雪のお笠。

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《鳥の足跡》
最後にもう一度川沿いへ戻ると、往路では見なかった鳥の足跡が。

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逡巡したのか、足跡は行って戻って、
少し足踏みをしてまた川沿いを遡っていました。
この辺りによくいるセグロセキレイの足跡でしょうか。


《今日見た鳥》
 セグロセキレイ 
 ハクセキレイ
 カワウ
 コサギ
 ムクドリ
 スズメ
 ヒヨドリ
 シジュウカラ
 カルガモ
 ヒドリガモ
 ドバト 
 ハシボソカラス
 セグロカモメ(もしかしたらウミネコか。脚が黄色く見えた)


《積雪30センチ》 
積雪量は、場所によって違いますが、30センチ前後でした。
時折り雪に脚を取られながらの散策。
二時間歩いて、無事帰宅しました。



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by happyfrosty | 2014-02-09 19:20 | 歳時記ぐらし

メジロのお客さん

《ようこそメジロさん》
冬の楽しみのひとつは、小鳥がベランダに遊びにくること。
寒い時季は野鳥にもエサをやっていいのでは、と聞き、
冬になると、ベランダにみかんなどの果物をすこしだけ出しておきます。
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《みかんを催促》
昨日の大雪では、鳥の姿も見えず、
自分も雪にかまけてうっかりしていました。
午後2時くらいのこと、みかんを催促しに来たのか、
ベランダでメジロがしきりに鳴きます。
ハッと気付いて、今日はまだだしていなかった、
と急いでベランダにみかんを出しました。
横に半切りにして、裸木になった木槿の枝に刺します。

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《素早い反応!》
みかんを出して、ベランダから部屋に入り、手を洗って机に戻ると、
目の前の窓の外に、もうメジロが来てみかんを食べていました。
早い!
みかんを出してから、ものの一分もたっていません。
待っていたのね。
雪で食べるものがなくて、おなかがすいていたんだよね。
お待たせおまたせ。


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《仲良し夫婦》
メジロはいつもつがいでやって来ます。
かわいらしい声で鳴き交わしながら、
みかんをおいしそうについばむ姿。
仕事机はベランダに向かって置いてあり、木槿の鉢植えはすぐ目の前。
ガラス越しとはいえ、メジロは手の届きそうなところにいます。
そんな訳で、ついつい仕事の手を休めて見とれてしまうのでした。
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《かわいい正面顔》
じっと見ていると、たまに正面顔を見られることが。
これもかわいい。
ダイビングをして、初めて魚の正面顔を見たときは感動しましたが、
小鳥の正面顔も愛くるしいものです。
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by happyfrosty | 2014-02-09 17:55 | 歳時記ぐらし